お城巡りを始めた理由のひとつに古いプロダクトが好きという事もあってこれまで名城の近現代流の建て直しやリフォームに関して少し否定的なスタンスを取っていたのですが、「各時代の最先端の常識や技術を全力投入する」という点において、戦国時代の石や木に対して明治期以降に鉄筋コンクリートで建て直したり補強したりするのは必ずしも無粋と言えないのではないかと少し前から考えるようになりました。
ところがそうして考えを軟化した途端、ここへきてコンクリートの耐用年数60年という現実的な寿命に直面して頭を抱えている自治体も多いと聞き、この落語っぽい顛末はこれはこれでとても風情があるなと思いました。
良きにつけ悪しきにつけ過去の選択は未来に継がれるものであり、そういう意味では皮肉にもお城はやはり石と木と土であるべきだった訳です。ただし戦災も災害も修復も歴史の一部である以上今や壮大なるトマソンと化したお城を今後壊すも木造で再建するも各自治体が今納得出来る選択をする事こそ寂びや枯れの概念に通ずるものと寛容な気持ちになる一方で、老朽化のニュースをみて「早く廻らないとマズい」と非常に焦っています。